そのいびき、本当に「よくあること」で済ませて大丈夫ですか?
いびきは決して珍しいものではありません。疲れている日やお酒を飲んだ夜に、いつもより大きないびきをかいた経験がある人も多いはずです。そのため、いびき=よくある現象として深く考えない人がほとんどでしょう。
しかし一方で、いびきの中には病気のサインとして現れるものがあることも事実です。
特に気になるのが、家族やパートナーから「途中で急に静かになる」「息が止まっているようで怖い」と指摘されるケース。本人は眠っているため自覚がなく、指摘されて初めて不安を感じることも少なくありません。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきの特徴と、普通のいびきとの決定的な違いを整理して解説します。
「様子見でいいのか」「一度相談したほうがいいのか」を判断する材料として、落ち着いて読み進めてください。
睡眠時無呼吸症候群とは?いびきと深く関係する理由
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が何度も止まったり浅くなったりする状態が繰り返される疾患です。ポイントは、単なる睡眠の問題ではなく、呼吸そのものが妨げられている点にあります。
多くの場合、空気の通り道である喉の奥が睡眠中に狭くなり、空気がスムーズに通らなくなります。その結果、空気が無理やり通過しようとして振動が起こり、いびきが発生します。
つまり、いびきは睡眠時無呼吸症候群の「結果」として現れる症状のひとつなのです。
重要なのは、音の大きさそのものよりも、呼吸が一時的に止まっているかどうか。ここを理解しておかないと、「うるさいだけのいびき」と見分けがつかず、見逃してしまうことになります。
睡眠時無呼吸症候群のいびきに見られる特徴
睡眠時無呼吸症候群のいびきには、いくつか共通した特徴があります。まず多いのが、いびきのリズムが不規則であることです。ずっと同じ音が続くのではなく、急に止まり、しばらくしてから大きく再開します。
この「止まる時間」は、実際に呼吸が止まっている可能性が高いタイミングです。その後、息を取り戻すように大きな音とともに呼吸が再開されるため、周囲から見ると苦しそうに映ります。
また、体勢を変えても改善しにくく、毎晩のように繰り返される傾向もあります。本人は深く眠っているつもりでも、実際には睡眠が分断されており、自覚がないまま進行しているケースも少なくありません。
普通のいびきとは何が違うのか?決定的な違いを整理
普通のいびきは、疲労や飲酒、鼻詰まりなど、一時的な要因で起こることが多いものです。音は大きくても、呼吸そのものは止まらず、一定のリズムで続くのが特徴です。
一方、睡眠時無呼吸症候群では、いびきが「音」ではなく「呼吸障害のサイン」になります。呼吸が止まり、その反動で再開するため、リズムが乱れ、断続的になります。
また、普通のいびきは体調が戻れば自然に改善することが多いのに対し、睡眠時無呼吸症候群のいびきは慢性的に続く点も大きな違いです。
この「一過性か、慢性か」が見分ける重要なポイントになります。
周囲が気づきやすいサイン|家族・パートナーの視点
睡眠時無呼吸症候群の特徴的な点として、本人よりも周囲が異変に気づきやすいことが挙げられます。眠っている最中、急に静かになり、その後に大きないびきや息を吸い込む音がする。この繰り返しは、見ている側にとって強い違和感があります。
「息が止まっているようで心配」「苦しそうで起こしたくなる」と感じる人も多く、実際に受診のきっかけは家族の指摘だった、という話はよく聞きます。
また、寝返りが多い、落ち着きなく動くといった行動も、無意識に呼吸しやすい姿勢を探している可能性があります。周囲の視点は、重要な判断材料になります。
本人に起こりやすい日中の症状
睡眠時無呼吸症候群は、夜だけの問題ではありません。特徴的なのは、十分に寝たはずなのに疲れが取れない感覚です。起床時の頭痛や口の渇き、熟睡感のなさを訴える人もいます。
日中になると、強い眠気や集中力の低下が現れ、仕事や家事の効率が落ちることもあります。特に運転中の眠気は、重大な事故につながるリスクもあるため注意が必要です。
これらの症状は、いびきと直接結びつかないため見過ごされがちですが、夜間の呼吸障害が日中の不調として表れていると考えると、一本の線でつながります。
放置するとどうなる?睡眠時無呼吸症候群のリスク
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、単に眠りの質が悪い状態が続くだけでは済みません。呼吸が止まるたびに体は低酸素状態になり、心臓や血管に負担がかかるとされています。
その結果、高血圧や心血管系のトラブルと関連する可能性が指摘されています。また、慢性的な睡眠不足は、集中力や判断力の低下を招き、生活の質をじわじわと下げていきます。
「たかがいびき」と軽く考えてしまうと、こうしたリスクに気づくタイミングを逃してしまうかもしれません。早めに特徴を知ること自体が、重要な予防になります。
受診を考えるべきいびきの目安
すべてのいびきが受診対象になるわけではありませんが、いくつかの特徴が重なる場合は注意が必要です。たとえば、いびきが毎晩続く、途中で止まる、日中の眠気が強いといったケースです。
自己判断が難しい理由は、睡眠中の状態を自分で確認できない点にあります。そのため、家族の指摘や録音・録画などが判断材料になることもあります。
医療機関では、睡眠中の呼吸状態を調べる検査によって、客観的な評価が可能です。「念のため相談する」という選択肢も、決して大げさではありません。
まとめ|いびきの「違和感」は重要なサイン
睡眠時無呼吸症候群のいびきと、普通のいびきの違いは、音の大きさではなく、呼吸が止まっているかどうかにあります。不規則で断続的ないびきは、体からの重要なサインかもしれません。
いびきは身近な現象だからこそ、違和感を感じたときに立ち止まって考えることが大切です。特徴を知っておくだけでも、判断の精度は大きく変わります。
もし気になる点があれば、放置せず、情報を集めたり相談したりすることが、結果的に自分や周囲を守る行動につながります。
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